毎朝会社に向かう途中の自販機で紙パックのカフェオレを買う。
出社して自席でパソコンを立ち上げた後でストローをぷすっと刺し
コクリと音を立てて一口飲む瞬間。
それは平凡なoffice ladyの日常を演じる私にとって重要な場面のひとつだ。
満員電車に乗るのも汚れた駅まわりの道を歩くのも
いやそもそも朝の温かい布団から出るのさえ
完璧な場面を再現するための過程の一部となれば恐れる必要もない。
おなじみの紙パック・オレはパッケージがクリーム色で可愛いし
味も見た目にそってマイルドに甘く朝にぴったりだったので
三年間同じものを買い続けてきた。
ところが今日の朝いつもの自販機の前にたつと別の商品にすり替わっていた。
可愛いミルク色から豆臭い茶色の姿になった下段右から3段目は
一応同じ企業の出している紙パック・オレだったので購入してみたが
やはり味もすっかり焦茶色の味になってしまっていた。
つまり今日の私は無駄に会社に行き無駄に1日を過ごした無名役者となった。
「出社後に自席で紙パックを飲むOL」が突然の降板で驚いたが
残念なことに明日も出勤である。
慌てて何か別の場面を用意しなければと思い深夜適当にキーボードを叩き始めた。
実は少し前から次回作は「退勤後にblogを書くOL」を演じてみたいと思っていたのだ。
けれど言葉を紡ぐと喉が渇く。
やっぱり紙パック・オレの代替品が欲しい。
今後お供としてマグカップに入れるのをココアにするかミルクにするか悩みどころだ。