日本酒はお猪口1口で酔いの満足感を得れるのに、 ビールは大量に飲まないと始まらないので無駄な飲み物だと話す人がいた。
確かに私たちはビールと言えば大きなジョッキで大量に飲むイメージがついている。
衣・食・住は純粋な人の欲求や自然の合理性から生まれるものではない。
生まれた時からビールは大量摂取するものなんて印象を持っていた訳では全くないのだ。
継承し受容し続けた文化のせいで、私たちはビールを大量に飲むハメになっている。
文化というものは一度生み出したものを破壊するのが苦手だ。
ガラスの無機質なビルも核搭載ミサイルも原理宗教もSNSも一度誕生してしまった後では、徹底的になかった事にすることができない。
人類は0→1より1→0が不可能な生き物なのだ。
ターミナル駅近くに並ぶ居酒屋では今日も仕事帰りの疲れ切った顔の人々で溢れている。
お猪口1杯のビールの泡を嗜む文化が作り上げられていれば、彼らは今頃もっと手軽に優雅に幸福を感じることができたのだろうか。